■■■過去の活動報告■■■



第一期 頭蓋仙骨療法
(クラニオ・セイクラル・セラピー)
お手当ての会 in福島


【日時】 2012年 3月6日~9日
子どもたちが危ない!先生、福島に来てもらえませんか!!」というメールが飛び込んできたのは昨年の秋のことです。メールの送り主は、たなこころ庵の主催する「頭蓋仙骨療法」のワークショプに数年前から参加されている助産師の上田さん(母の花~ほのか~主宰)でした。彼女は福島県の出身です。ふるさとの人々が疲弊し、特に子どもたちが、言葉には出さないでいるが、緊張していて筋肉が硬く、常に「手当て」が必要だと感じたそうです。そんな子どもたちの姿を見て「何とかしてあげたい!少しでも緊張をほぐしてあげたい!!」という思いが心の底から強烈に湧きあがってきたそうです。

私共 たなこころ庵でも昨年4月・6月に大阪と福岡で「チャリティ・クレニオ」を行い、その収益の全てを義援金として現地に送る活動を行ないました。しかしながら、同じ日本人として 甚大な被害に見舞われた人々に対して、何かもっと有効な形で自分に出来ることはないだろうかと自問しつつ、現地の正確な状況が全くわからないことに はがゆさを感じる毎日を過ごしておりました。そして悶々としていた まさに そんな時にこのメールが飛び込んできたのです。

いまだに現地では服を着たまま、靴を側においたまま 夜 眠る人もいるそうです。 通常、人間は 一日の活動が終わって身体を休めるために睡眠をとります。いちばん体が休息を求める時でさえ、気を張り詰めて毎日を過ごしていらっしゃる方々の体は本当にガチガチに強張っているそうです。自分の本来のリズムとかけ離れた状態で毎日を生きていかなければならないなんて、なんと過酷なことでしょう。そのような方々がこの同じ日本の中に少なからずいらっしゃるのです。

私は無力です。しかし、無力だからといって何もしない訳にはいきません。
~ 自分の出来ることを精一杯やる ~


それが、今、この時代を共に生きている人間として 唯一 自分に出来ることだと信じております。そして、志を同じくする者が集まれば、ひとりでは成し得ないことも 出来るはずだと信じております。

たなこころ庵では、上記の上田さんとそのご家族のご尽力もあり、3月に福島県・二本松市と本宮市の仮設住宅に出向き、被災された方々対象に『頭蓋仙骨療法(クレニオ・セイクラル・セラピー) お手当ての会』を行なうことになりました。そして、今回、志を同じくするボランティア・スタッフを募集いたしました。『こころの想い』を形にあらわすのは『手』です。

みなさまの『手』=『たなこころ』をお貸しくださいましてありがとうございました。





福島ボランティアお手当て会 報告書 <3月7日~9日>
我々が福島入りした日は眩しい位の快晴でしたが、前日までに降った大雪で町は白一色となっていました。今回我々が訪問した仮設住宅に入居されている方々は、福島の中でも比較的暖かい海側の浪江町の住民の方たちで、仮設住宅住まいのストレスに加えて慣れない雪かきで肩や腰を痛めている方も大勢いらっしゃしました。 遠い九州から来た我々を警戒心なしに受け入れてくださるだろうか、引きこもっているお年寄りを一軒一軒出向いてお手当てさせていただいた方がいいのだろうか・・等々さまざまな心配がありましたが、我々以前にも多くのボランティア団体が福島を訪問しており、マッサージの人がまたやって来たという感じで、集会所まで気軽に足を運んでくださいました。

<3月7日>於:本宮市石神仮設住宅集会所 お手当てさせていただいた人数:24名

こちらの仮設住宅は世帯数の少ない小さい仮設住宅でした。 お年寄りの方が多く、マッサージでグイグイ揉まれるつもりで来られていたので、器具もオイルも使わず、ただ静かにじーっと触って待っているだけで身体が緩んでくる感覚に「これは一体何なんですか?」という声を聞くことが多かったです。とにかく皆さん内旋が入らないくらい体が硬い。お一人につき、我々スタッフが足・腰・頭部と最低3人が同時にお手当てをさせてもらいました。時間は15分と短いのですが、ほとんどの方が入眠され、身体がほかほかと暖かくなったとおっしゃっていました。特に印象的だったのが、50代後半の主婦の方が、お手当て中に涙をぽろぽろ流され、ご本人も「何故だか分からないが涙が出てくる。」と不思議がっておられました。相当なストレスのかかった毎日で自分のことはいつも後回しにされてこられたのでしょう。身体の深い部分が緩んで押し込めていたものが解放されたのではないでしょうか。

あと、自治会長さんが、娘さんが沖縄で出産され 産後 仮設住宅で育児をされている生後数ヶ月の赤ちゃんを連れてこられました。反り返りと頭の変形が少し気になる赤ちゃんでした。ずーと泣きじゃくっていましたが、赤ちゃんの手当てに慣れているボランティアスタッフが手当てを始めると、スウスウ寝息をたてて寝てしまいました。手当てが終わる頃には頭の変形も改善され、自治会長さんもびっくりされていました。

<3月8日>於:二本松市安達運動場仮設住宅集会所 お手当てさせていただいた人数:30名

こちらの仮設住宅は200世帯を超える大きな仮設住宅で、敷地内にデイケアセンターなども設置されていました。放射線線量計も数台設置されており、刻々と数値が変化し、ここは津波被害のみならず放射能汚染の被害地でもあることをあらためて実感しました。 こちらの住宅でもお年寄りが多く、慣れない雪かきで普段痛まないところが痛んで困っているという声が多かったです。昼休みにはデイケアセンターの看護師さんたちが何名か交代で施術を受けに来てくださいました。短い時間でたくさんの方々に施術を受けていただくために、この日も3人がかりでお手当てしました。藤牧をはじめ、プロコース受講者(頭部への手当て法の習得者)が頭蓋骨の解放を担当しました。精神的なストレスが多い方ほど頭部へのアプローチが有効なようで皆さん入眠されていました。この日印象的だったのは、60代後半の男性で、毎日睡眠薬を服用しても2時間くらいしか眠れないとのことでしたが、施術中すぐに入眠され、その後1時間ほど眠り続けていらっしゃいました。眠りから覚めてもご本人は自分が寝ていたとは信じられない様子で、最後までその事実を認められませんでした。時計の針はしっかりと時間を刻んでいましたが、我々もそれ以上言及することもなく次の方のお手当てに向かいました。 あと、70代後半の背中の曲がったご婦人はベットに横になるなり、「恥ずかしい。恥ずかしい。」と繰り返しおっしゃっていました。よくよく聞いてみると、その方は福島第一原発の近くで焼肉屋を何十年も営んでおられたとのことで今回の事故を自分の責任のように感じていらっしゃいました。こと原発に関しては、様々な情報が飛び交い、我々も一体何が真実なのかわからないことばかりです。しかしながら、ひとりのご老人が涙を流しながら自分を責めている姿を目の当たりにして、我々もひとりの人間として ただただ そっと手を背中に置くことしか出来ませんでした。何のご縁か、こうして次にいつ会えるか分からないこのご老人の前に自分はいる。今出来ることを心を込めてさせていただく・・・。

他には何もいらない。『今出来ることを心を込めてさせていただく』このことをこのご老人との出会いから 今までとは違う次元で自分の中に深く刻み込ませていただきました。大きな学びをいただいたこのご老人に感謝の気持ちでいっぱいになりました。

<3月9日>於:二本松男女共生センター お手当てさせていただいた人数:77名 3月7・8日の二日間は仮設住宅に出向いてのお手当て会でしたが、この日は場所を二本松男女共生センターに変え、老若男女、実に様々な方々をお手当てさせていただきました。会場の二本松男女共生センターは、被災した浪江町町役場の仮出張所にもなっており、昼休みや就業時間後にも8名ほどの職員の方が手当てを受けに来てくださいました。この日は10時から20時までの長丁場でしかもボランティアスタッフの数が3日間のうち一番少なかったので、来場者すべての方に3人がかりのお手当てというわけにはいきませんでしたが、最低2人でお手当てさせていただきました。

皆さん身体の緊張が強く、内旋もままならない方が多かったのですが、とにかくゆっくり身体が緩みたいように寄り添うことだけに集中してのお手当てで 皆さん身体が軽くなった、温かくなったと変化を実感してくださっていました。この日、お手当てを受けて「自分も出来るようになりたい」と翌日から開催予定のワークショップに申し込みをされた方も数名いっらっしゃいました。

3日間を通して来場者の多くはお年寄りの方でしたが、小さいお子様連れのお母さんたちや、お仕事帰りの若い女性の来場もありました。子育て世代はやはり将来への不安を大きく抱えていらっしゃいました。福島に住んでいる以上あまり大きな声で放射能汚染のことを騒ぐと周りの人の不安を煽ってしまうという遠慮もあるのでしょうか、この未曾有の災害に何をどうしていいのか解らないというストレスも大きく若い世代にのしかかっていることも肌で感じました。一方、小雨の降る中、傘もささずに普通に話しながら歩いている子ども達の姿を見て、(その頃はまだセシウム値が高い状態だったのですが)腰を抜かすほど驚きました。放射能被害についての受け止め方も(仕方の無いことだと思いますが)とても個人差があるのだと知りました。「国が大きなリーダーシップを取って国民の命と健康を守ります」などとテレビや新聞で政府の言うことを見聞きしていましたが、現地に行ってまさに無策であるということを実感しました。無策であるが故に 対処の仕方に個人差が出ており、個人の力では到底解決の出来ないことが多々あるのに、それを国民に強いているこの国の政府の態度に大きな憤りを感じました。  

ならば、『私たちが出来ること』に徹底しようと、放射能汚染に関しては、マクロバイオテックの観点から 解毒作用のある食品のとり方・調理の仕方をお伝えし、お手当てに関しては、自分で出来る毎日のケア法や、赤ちゃんや小さなお子様に対してのケア法をお伝えしてきました。


頭蓋仙骨療法お手当て会 in 福島 の活動に寄付金をお送りくださった皆さまへ

拝啓 今年も押し迫り何かと気ぜわしい毎日ですが皆さまいかがお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。

さて、今年3月に福島へ頭蓋仙骨療法ボランティアお手当て会を開催いたしました際に、寄付金をお送りくださいまして誠にありがとうございました。

今回の福島行きは、準備段階から 初めてづくしの手探り状態で、しかも正確な情報がわからないという中で、不安が全く無かったわけではなかったのですが、皆さまのように我々の活動をサポートしてくださる方々がいらっしゃるというだけで、本当にたくさんの勇気をいただけました。

皆さまからのご支援はとても心強く、本当にありがとうございました。心より感謝いたしております。

先に 3月18日付けにて 簡単な報告と御礼を兼ねたメールを取り急ぎ送らせていただきました。その後、すぐにでも活動内容と会計の報告をさせていただくつもりにしておりましたが、福島から戻りました日から今日までの前半の期間は、度重なる出張と また私事で大変恐縮ではありますが、5月に結婚式を挙げ その準備等々(アメリカにいる娘2人が来日し、老親を東京から挙式地の奈良まで介護しながらの送迎等々)でバタバタとしており、そしてその後、後半の期間は、病身ながら結婚式に参列してくれて孫娘達とも久しぶりの再会を果たした父が入退院を繰り返した末、10月に永眠いたしまして、12月4日にやっと四十九日の法要を終えたところでございました。 皆さまから貴重な寄付金をお預かりしておきながら、個人的な理由で長らくご報告が出来ずにおり、大変心苦しく思っておりました。長らくの無礼をどうぞお許しくださいませ。

さて、我々が3月に福島に行きましてから早や9ヶ月以上の時が流れました。その間、今夏九州でも集中豪雨があり甚大な被害がありました。昨年の夏も紀伊半島で豪雨被害があり今だに避難生活を強いられている方もいらっしゃいます。異常気象のせいでしょうか、いつの間にか日本中が自然災害に晒されるようになりました。そして また いつ何時巨大地震に見舞われるかわからない事態となっているのも周知の事実です。

このような大きな自然災害等で電気もガスも道具も何も無くなった状況で、傍で家族があるいは友人が苦痛を訴えた時に 私達にいったい何が出来るのでしょうか。ただただ 苦しむ人にそっと手を添えることのみが、私たちに出来る精一杯のことではないでしょうか。人間の持っている最も根源的で本能的な反応として”そっと手を添える”これが治療の『原点』なのではないでしょうか。 世の中には実にさまざまな療法があります。器具や道具を使用して効果を高めるものもあり、どの療法もそれぞれ有効で素晴らしいものだと思います。(私も時々ではありますが、人によってはよもぎ温灸を使うこともあります)しかし残念ながら物が使えない状況の中ではその技術を有効に発揮することは出来ないということを福島で思い知りました。 私は、今まで 毎日 当たり前のようにこの「頭蓋仙骨療法」の施術を行なってきましたが、この『手』だけで治療が出来るということに対して 今回の福島行きを機に 改めて 深い感慨と感謝を持つようになりました。

今回、我々は何も持ち込まず身一つで福島入りしました。 道具も使わず ぐりぐり押したり揉んだりもせず、ただじっと手を置いて静かに待っているだけのこの療法に「何かが違う」と敏感に反応して身体が芯から緩むのを受け入れてくださったのは、極限の苦難を経験されてきた福島の人々だったからこそではないでしょうか。ガチガチに固まっていた身体が少しずつ確実に緩んでいく。ギューっと張り詰めていたものが中から解放されていくのを一日に何十例も集中的に目の当たりに出来たことは、我々にとっても何物にも変えがたい貴重な経験となりました。

そしてまた 3日間のお手当て会の後、被災された方々対象に「頭蓋仙骨療法」のワークショップも行なってきました。我々が去った後でも福島の方自身がお互いにお手当てをし合えるようにとの思いからでした。その後、今回のお手当て会の呼びかけ人である福島出身の上田さんが「てしおの会」を継続的に福島で開催してくださっています。皆さんメキメキと腕を磨かれ、老人施設等にお手当てのボランティアに行かれているとのことです。このことも併せて皆さまにお知らせしたいと思いご報告させていただきます。

それでは、また皆さまと講習会やその他の機会にお目にかかれるのを楽しみにしております。

寒波襲来で寒さが厳しくなっておりますので、皆さま方にはくれぐれもお身体お大事にご自愛いただけますようお祈り申し上げます。

ありがとうございました。

敬具
2012年 12月吉日
頭蓋仙骨機能快復研究所 
たなこころ庵  
代表 藤牧経乘